April 17, 2009

映画「ロード・トゥ・ルーベ」

「クラシックの女王」という優美な名前と「北の地獄」という形容を併せ持つクラシックレースが、「パリ~ルーベ」。
全コース260km中、52kmにわたる石畳(パヴェ)を集団で、しかも高速で駆ける。頻繁に起こる落車、先が見えない砂埃、雨が降れば状況はさらに悪化し、本当に地獄のようなレースになるという。
そのドキュメンタリー映画が、「ロード・トゥ・ルーベ」。渋谷のアップリンクシアターで観てきた。
http://www.uplink.co.jp/roadtoroubaix/index.php

どーしてこんな道を走るの?とあきれかえる人も多いだろうが、そのレースに魅せられたライダーや観客が丁寧に描かれている。
パヴェの石を使った優勝トロフィー、ゴールした者しか入ることができない古びたシャワー室、集団落車の映像、熱狂する沿道の観客……日本ではまず行われないだろう、ヨーロッパならではのサイクルレース。映画の中で「このレースの映画をアメリカ人が作ってるなんて、たいしたもんだ」と話すヨーロッパ人が出てくる。なるほど、やっぱり「自分たちのレース」という意識なんだよね。だから100年以上、変わらず続いている。

興味がある人は必見、と思ったが、上映は日曜日まで。急げ!

(ちなみに2009年はトム・ボーネンが優勝。ベルギーの観客はさぞ喜んだでしょう。日本人の別府フミはリタイヤ)

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May 16, 2005

【映画】真夜中の弥次さん喜多さん

 しりあがり寿は、かなり前から好きだった。こっちから異界へ行ったり来たりのゆらぎ方や、哀感たっぷりのサラリーマン情話、ホモ的エッセンスがかなりツボだったのである。
(だから朝日の夕刊に四コマを連載、と聞いたときちょっと驚いた)
 その作品「弥次喜多 in DEEP」をもとにして宮藤官九郎が撮ったのが、「真夜中の弥次さん喜多さん」だ。実は原作は直前に読んだばかりだが、一読「これを映画にできるのだろうか」という感想だった。
 で、観た。「なってるじゃん、これ。映画に」
 特撮(言葉が古いね)やCGの力が、しりあがり世界の「ゆらぎ」を再現している。そして、映画ならではのスピード感は長瀬&七之助が付け加えている。
 出演しているのがクドカンドラマの常連が多いので(荒川良々の増殖っぷりは夢に出そうだ)、彼の世界観がそのまま映画的表現になるかもしれない。それはその通りだ。
 そして何となく思うのは、宮藤監督が原作者に気をつかってるかな、ということ。だって、出身地・静岡県の宿場でのエピソードが多いのだから。
 それにしても長瀬君の演技、「タイガー&ドラゴン」そのまま。あのドラマも大好きだからいいのだが。
 ともあれ、とても良かった。
 予告編で「タナカヒロシのすべて」をやっていた。これも実に観たい。

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March 17, 2005

【モーターサイクル・ダイアリーズ】〜名も無き人々のまなざし

2005.3.17
 渋谷の「シネ・アミューズ」で再上映されている「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観に行った。18日まで、ということでちょっと焦っていたせいか、確認を怠り、渋谷に着いてから映画館の場所がわからなくなり往生してしまった。同行するはずだった人に電話して教わったものの、頭の10分ほどを見逃した。残念だ。
 それはともかく、この映画は若き日のエルネスト・チェ・ゲバラが、親友のアルベルト・グラナドスといっしょに南米大陸を放浪する旅を描いたものだ。もとモーターサイクル乗りでキャンプ好きな人間からすると、これはもう捨て身の旅にしか見えない。単気筒エンジンのポンコツNorton(おそらく500〜600ccだろうか)に荷物をいっぱいくくりつけ、タンデムで、しかも走る道は不整地。スクリーンの中で、彼らは何度も転倒する。雪の中、ぬかるみ、砂利道……10分遅れで見始めた私は、その真に迫る転びっぷりをきっかけに、映画の中に引き込まれた。
 強風で飛ばされるテント、宿を得るための「方便」、ナンパ、そしてNortonの臨終(「モーターサイクル」は、ここで姿を消す)。しかし、さながら「電波少年」の中で繰り広げられるような、若者の難儀な珍道中を描いたロード・ムービーか、と思っていたのもここまでだった。鉱山労働者、政府に追われる共産党員の夫婦(彼らがこの映画の中でいちばん印象的だった)、マチュピチュのインディオ、小作人、ガイドの少年、タグボートの中でハンモックに揺られる貧しい旅行者、そしてハンセン病患者が次々に現れ、彼ら二人は南米の現実と直面させられる。
 終わり近くに、そんな人々がカメラ目線でこちらを見据えるカットがずっと続く。名もない人々の視線が、若きゲバラの中に宿したものを確認させるように。南米大陸をひとつにしたい−−そんなスピーチをしてしまうまでに変わっていった旅の終盤。ここから、のちの10数年に続くゲバラの旅が新しく始まったのだ。
 この映画を観たいと思いながら、「ゲバラ日記」も並行して読んでいた。死ぬ直前までのゲリラ戦と、南米放浪の旅が、ごく自然につながるのがわかったのだった。

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