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April 26, 2013

困った人たち〜ラウドスピーカーおばさんと消沈亭主

あるクライアントの仕事をすることになった。
ひょんなことで知り合った夫婦から入ってきた案件。

町の活性化を狙いとした内容だった。
打合せの時に主としてしゃべっていたのは奥さんの方で、
亭主は時々合いの手を入れたり、混ぜっ返したりするくらい。
それでも、趣旨説明くらいはしてくれたのだが、
どうも歯切れが悪いしゃべり方だ。
自信がないというか。
さまざまな案件を手がけているプロデューサーという立場、と言っていたが、
奥さんがリードというか、コントロールしているような印象。
彼女がどういうポジションなのか、今ひとつ掴みきれなかった。
まあ、こちらとしても仕事は選ばない方なので、
いくつか企画を考えて提案した。
最初のプレゼンはその亭主にやってもらった。
仕事の流れは、
クライアント→代理店→企画屋→亭主と奥さん→我々
というもの。
ひ孫どころか、ひひ孫請けだったけれどね。
さて、企画が採用されたということなので、詳細を詰めて2度目のプレゼンを
することとなった。
我々でいろいろ軌道修正も行い、新たなアイデアも加えて組み立てた。
亭主は、うなずきながら見ていた。
奥さんもやってきては、町づくりについていろいろとしゃべりまくっていった。
あちこちの団体や会社に首を突っ込んで町づくりに一生懸命であること、
とても顔が広いことを、盛んにアピールしていた。
さて、2度目のプレゼンでは私が出席して説明した。
説明を終わって、クライアント曰く。
「なんで決まったことを仕上げて来ないんだ。新しい提案をされても困る」
え?
要するに、我々が行った軌道修正は、まったくの見当違いだったのだ。
その他の提案も同じ。的外れ、と一蹴。
つまり、亭主がまったく機能していなかったことになる。
だって、軌道修正したり新たなアイデアを加えたりすることに、
まったく口をはさまなかったのだからね。
「いいねえ」と何度も口にしていたし。
しかし最初のプレゼンで決まった内容は、もう決定事項で動かせない。
そのことを、まったく理解していなかったわけだ。

顔が呆けてしまった。言葉が停まった。
こんな無様なプレゼンは久しぶりだ。
(ま、以前にもあったんだけどね、相当酷いプレゼンも)

見かねて企画屋が、「じゃあ、企画書はこっちで修正しておきますから」と引き取った。

帰り際に亭主は、「これからクライアントさんたちと会食するんで、夜事務所に行きます」
と小声で言って去った。
そして夜10時過ぎに現れ、
「娘がまだ夕食食べてないって言うから、行かなきゃならない。
明日時間あります?」と酒臭い息で言うのだった。

仕事が根底から覆るところだというのに、娘と食事?
乳幼児ならわかるが、たしか社会人だと言っていなかったか?

またまた呆れ返った。
そして言った。
「すみません、この案件降りさせていただきます」

亭主はそこで反論するでもなく、「困ったなあ」と言いながら帰って行った。
奥さんから翌日、「断ったと聞いてびっくりした。今から受けてくれるところを探すのは大変だ」というメッセージが来た。
こちらも悪いことをしたと思っているので、いくつか心当たりの会社を挙げておいた。
何日か経って、また奥さんからメッセージが来た。
「何とか見つかった」と。
ま、それはよかったけれど、大本のアイデアはこちらなのだから、
本来なら使用料も発生しますよね、と釘を刺すようなメッセージを返した。
すると「最後までやり通すのが条件なのに承伏しかねる」と返ってきた。
釘刺しのつもりだったので、「契約書もないのに『条件』とはよくわかりませんが、
もう好きにしてください」という内容でやり取りを終わりにした。
亭主からは、その間一言の発言もなかった。

翌日、このいきさつを知る人から「ソーシャルメディアであのこと書かれてるよ」と連絡が来た。
奥さんが「途中で投げ出したくせにカネを要求する酷いやつと関わってしまった」と書き込んでいるのだった。

あーあ、そういう言い方かよ。
だいたい、なぜ我々が降りざるを得なかったのか、わかってるんだろうか。
あなたの亭主と仕事をするのがあまりにも不安で危険だと思ったからだよ。
傷口は小さいうちにふさいだ方がいい。

そもそも、亭主の仕事なのになぜ奥さんがこんなにしゃしゃり出てくるのだろう。
不甲斐ない亭主のマネージャーにでもなったつもりなのだろうか。
もしかすると、仕事(カネ)の流れは

クライアント→代理店→企画屋→奥さん→亭主→我々
なのかもしれない。
放射能除染作業者より川下だね、俺ら。

ともあれ、自分が被害を受けたことや私が無責任な守銭奴だということを、
あちこちでしゃべりまくっているのは想像に難くない。
ソーシャルだから控えたものの、面と向かっては実名も出しているだろうな。

この町の一部では、私はとんでもない悪人になっているのかもしれない。
なりは小さいが大声でしゃべれます。

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